バンコク、ドバイ、鬱

ずっと溜めてたことを書きます。まさか自分が鬱病になるなんて。

新宿、代々木、渋谷まで

朝の新宿はいつだって通勤客で混み合う。25年前だって変わらない。

変わったのは自分が働く大人になり、当時感じられなかったことが、急に身近になったり、ニュースに出てくる冤罪の痴漢事件を気にして、車内で不自然な位に両手を挙げるようになったことだろうか。


17の僕は、朝になると中央線から新宿まで出て、ルミネ口から代ゼミの大検の校舎を目指して歩いた。

本当は代々木までの定期を持っていたし、歩く距離は倍以上の時間だったけれど、通勤客の流れに逆らって歩く自分に少し酔っていた。

もう高校生でない自分、長い髪に古着とデッドストックの646にエンジニアブーツ。僕にとってはこれが制服の代わりで高校生で無くなってしまった自分を光り輝かせる為の唯一の手段だった。


実際、通勤客は面白いように道を空けてくれた。

今のサラリーマンになった僕がするように、皆、無用なトラブルは避けたかったんだと思う。

10代の自意識過剰な感覚は時に自分に錯覚を起こさせる。

僕は長い髪をかき上げながら、通勤客の波に敢えて割って入っていった。

今日から僕は大検生になった。

でも学生でもない。

不安定な立場に不思議な高揚感を感じながら、予備校の門をくぐった。