不純性行為
大検予備校の朝は9時から始まる。
普通の高校生活と変わらない。
違うのは自分で授業を選択し、授業を受け、夏にやってくる大検の試験に自らを投じないといけないことだ。行く行かないは本人に任されている。
僕は最初の授業に出ただけで、後はひたすらタバコとお酒にのめり込んだ。予備校の目の前には、朝10時になると店開する酒屋があった。
店員は長髪でいつもスケートボードに乗って通勤してきた。
名前も知らないこの店員を僕らはダイちゃんと呼んでいた。
慣れているのかダイちゃんは、何も言わずに酒を買わせてくれた。
11時を廻る頃には道端でムラサキ色の透明な液体を吐く仲間がいた。
皆、味なんか分からないで、ひたすらアルコールの強さだけで、買うものを決めていた。
授業に出ずに代々木の道端で酔っ払う10代の集団。
1年分の授業料を払ってくれていた親には申し訳無かったけれど、どこかで崩れていく自分に酔っていた。
僕のいたグループは常に10人程いて、日が経つと共にその数は増えていった。
女の子は大体4人は必ずいて、誰かがいつも付きあってた。
夜になるとビルの屋上に忍び込み、朝まで飲み明かす。
女の子がいれば当然のごとく、酔った勢いと夜の雰囲気に飲まれ、キスをし、そこからセックスになだれ込んだ。
女の子は抵抗するどころか、寧ろ積極的にする事を好んだ。
多分、残業中のサラリーマンには丸見えだったと思う。
でも僕らは見せ付けるように、ビルの屋上で何回も抱きあった。
アルコール、タバコ、女の子とのセックス。
10代の普通の高校生が憧れるアイテムを僕らは、当たり前のように毎日手に入れた。