バンコク、ドバイ、鬱

ずっと溜めてたことを書きます。まさか自分が鬱病になるなんて。

危険ドラッグに手は出さない。

脱法ドラッグ、危険ドラッグ、呼び名は変われど、多分危ないんだろうなと思う。

精製過程をテレビ番組で見たけれど、あの葉っぱ自体は何の役目も果たしていないらしい。化学薬品をまぶしてそれがお香、アロマの名の下で販売されている。

アルコールじゃダメなんだろうか?

何故、ドラッグに手を出すんだろうか?


その昔、朝日新聞が出していた週刊誌に世界のアルコールを紹介するコラムがあったが、その中で旧ソ連時代のウォッカ、スピルタスについて書かれていた。度数は優に90度を越え、冷凍庫に入れても凍らない。


記事を読んだ翌日、父親が買ってきた。住んでいた土地柄、輸入品が手軽に買えたので、当たり前のようにその店に目的の品があった。


口に軽く含んでみる。

火を不意につっ込まれたように、口の中は麻痺し、喉は焼けただれたような感覚に襲われた。

それでも、3度目くらいからは慣れてしまい、寧ろ透明な香りに夢中になったが、さすがにこれだけ度数が強いと途中からぶっつりと記憶がとんでしまった。


それから3年後の夏、僕はタイのパンガン島にいた。

フルムーンパーティーで有名な場所で、マイケルジャクソンが訪れていると噂を耳にし、ビーチに集まった観光客は異様な熱気に包まれていた。僕はついに彼の姿を見ることはなかったけれど、踊り疲れた深夜過ぎに山の斜面に建つゲストハウスに戻った。

ふと、隣の部屋を見ると戸は開け放たれ、中からお香の青白い煙が出てきているのが見えた。

近づいて見ると、中には20代の日本人の男が二人。ひたすら丸い小さなテーブルの上で、薄い茶色のペーパーに葉を載せ、それをロール状に巻いていた。

夕方、既に一度顔を合わせていたからか、僕の顔を見ると手招きして部屋に招き入れた。

テーブルの上にはハイネケンとロールされた紙。

マリファナだった。

彼らは先端にライターで火を着けるとタバコの様に吸った。


やれよ。


僕に吸いかけたそれを渡そうとしたけれど、代わりにハイネケンを手に取りやんわり断った。

嫌な、見てはいけないものを見てしまった感覚がまとわり付き、僕は部屋を出るタイミングを見計らった。


シャワーを浴びるよ。そう言って彼らの部屋から出た。

不思議とマリファナの香りはタバコのどこか身体が拒否する嫌な感じのしない、寧ろお香だと言われれば信じてしまうほど、独特の甘い香りが鼻をついた。


僕がマリファナを見たのはそれが最後。帰国後に井の頭公演でジョイントを売っている男性から、あの匂いがしたが、あれは気のせいだっただろうか。


僕はもうアルコールもタバコも止めて10年以上経つ。

ドラッグには手を出したいと思わない。

ただ不眠が続くようになってから医者から睡眠導入薬を処方してもらうようになった。

一度効き出すと記憶を一気に失うように眠ってしまう。

もし、効かなくなったら、僕はドラッグに手をだすのだろうか。

今のところ、そんな思いはまるでない。手を出す人達が語る理由もまるで理解出来ない。

その過程に至る理由がどう聞いても分からないのだ。


でもそれでいいんだと思う。

ただ、僕は睡眠薬無しで眠れるようになりたい。


薬を飲むようになって今日で4ヶ月経つ。